小説【ラーメン屋旅館 ――女心――No28】

小説著者 【 末森拓夢 】


 約3時間で飲む事が出来るぐらいにはなる。

 途中で香り袋を入れる。これが曲者で入れるタイミングと中に何を入れるかによって各店のオリジナルな味が決まる。中には、イカ、小エビ、ピーナッツ、お茶葉、クキノミ等色々試して入れている。

 それから私の店ではもうひとつスープを用意している。お客に出す直前にその二つを合わせて出す事になる。それは昆布とかつおで取った和風だしである。もともとトンコツ系の方は朝から晩までじっくりと煮込む事になる。それでは開店直後と閉店間際ではかなり味が違うことになる。

 それが嫌で、少なくとも味の深みの部分だけは、平均させようと時間帯によって微妙に合わせる分量を変えている。

 それから、たれだが、チャーシューを煮込むときに使った物をそのまま使う。中身は醤油、大蒜、生姜、玉葱、干し海老、いりこ、さば節などだ。それからチャーシューから染み出る肉汁も重要な味の決め手になる。

 それらを、まず、器を用意して、塩、コショウ、香り油、の順に入れて、トンコツ系のスープ、それから和風のスープを入れて、後は茹でた麺と具を盛り付けると出来上がり。となる。

 爺さんは相変わらず色々世話をしていた。
「それからその坊主じゃの。よしそれも任しときなさい、わしの知り合いが託児所をやっておる。夜遅くまでやっているから安心じゃ」

 その後も、河野友美と打ち合わせをしていた。
「晩飯も一緒に食べよう」

 と、突然爺さんが、言い出した。それを聞いて思い出した。私の子供の事を忘れていた。

 もう5時が近い、かなり腹を空かしている事だろう。爺さんに、
「ちょっと子供が………」
「ご飯の事か」
「そうなんですよ。すっかり忘れていた。お腹を空かしていると思うんだが」
「ちょっと携帯してみろよ」
「そうして見ます」

 私は携帯を取り出して、ボタンを操作して子どもの携帯に掛けた。
「何しよるんね。お腹空いてもう我慢できないよ。拓馬もお腹減った、って言ってるよ」

 いきなり親に向かってそう言いやがった。その言い方が気に入らず、むっとして、
「今からタクシーで来い」

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