その日は、夕方の5時頃から雨が降り出した。天気予報が嘘を言ったようだ。予報では明日の昼頃からのはずであった。この時間から降りだす雨は、私は大嫌いだ。近所の人たちが慌てて帰り、来店してくれないからだ。これで今日の売り上げは、1万円は減るだろう。案の定6時すぎにぱらぱらと来た位で、7時ごろには空になった。その時、まるでそれを見透かしていたかのように、
「今晩は。失礼いたします」と河野友美が裏口から現れた。
彼女は一番初めに見かけた格好をしていた。ただ、左の小脇に袋を抱いていた。まず彼女はスーツケースをおろしそれから小脇に抱えた袋を取りながら、最後に子供を下ろした。
彼女はその袋を見せながら、言った。
「これ洗って返すね」私は、彼女の声が聞きたくて、話し出した
「大変だったねこの3日位」
「えっああそうですね。あの………実は私ちょっとだけ言っておかないといけない事が有るのですが」
「どんな事」
「その前にあの人形の事なんですが見たとおりかなり汚れているのですが、本当に母の思い出の品物なので、もらって以来、ずっと洗っていないんです。それであの探偵さんに失礼な事か、何か恥をかかしたかな、って思いまして」
「ああその位、いいですよ。彼は何時もそうなるんです。彼の運命ですよ」
「そうですか。それで実は、母にはもう会っています」
「えっ。それって本当」
「ええ、本当のことです。私が、
「大阪に行こう」と思ったのは叔父が手渡してくれた、母からの手紙です。その手紙に住所が書いてあって、母は大阪にいる事が直ぐに分かりました。大阪に仕事が決まって、少し落ち着いてから、その手紙に書かれた住所を頼りに行きました。母は再婚していました。わたしが会いに行くと、びっくりして慌てて、家の外に出てきて、それから近くの喫茶店に行って話をする事にしました。
そこで母は泣き出しながら、私に謝ってくれました。私から見たら、別に母に謝ってもらう必要は無いのですが、母から見るとやっぱり謝らずにはいられない、のだと思います。それから嬉しそうに色々訊ねてきました。
「仕事を大阪に決めた」