若い女性に言われると、自分の年齢が特に気になるもので、なぜか、穴を掘って入りたいような気持ちだった。もう私は若くない証拠だろう。
その後、何人かのお客が来てくれて、その対応に追われていた。
「これ部屋の鍵です」
と言って、キーホルダの付いた鍵を、河野さんが手渡してくれた。その後すぐに、
「おやすみなさい。もう今日は帰るわね」
と言って二人とも帰っていった。何時ものように、爺さんも少しの間、私と話していたが、男相手はあまり好きでは無いから、帰って行った
気が付くと、何時の間にか、雨はあがっていた。その後、結構お客が来てくれて、私は忙しくしていた。最後のお客を送り出して、気になっていた部屋のチェックに行った。
部屋に入ると微妙に彼女の香りが漂っているようで、暫くたたずんでいた。そして部屋をチェックしながら壁を見て、
「稼ぎをもっと増やさないと」私はいつの間にか独り言を言っていた。
「そのためにはこの壁を壊して、今の店の増築をしないと」またそう独り言を言いながら、念のために風呂のドアを開けた。そしてテーブルの上に有った手紙に気が付いた。
2枚の便箋に書かれたその手紙の2枚目は誰かの顔が太い線で書いてある。良く見るとその線は、
「絵」という漢字で書かれている。
不思議に思いながら、一枚目を読んだ。
「篠塚さんへ。
突然訪れた私達親子を、快く泊めて頂き、ありがとう御座いました。心より御礼を申し上げます。あの日、私は何処にも行ける所が無くて、困っていました。最後の選択は、私の叔父の所でしたが、そこにはどうしても行き辛く、思案している所でした。
あの日、あなたが声を掛けて下さらなかったら、私の今日の、この充実感は、無かった事と思います。それを考えると感謝の念で一杯です。また、あの立川さんや、探偵さんにもお世話になりました。その人たちに、私に代わってお礼を言っておいて下さい。
考えてみると私は、すばらしい人、人生の先輩になる人たちに出会う事が出来ました。本当にありがとう御座いました。
ところで、篠塚さん。あなたは、気持ちが直ぐに顔に表れるタイプですね。困ったり、うれしい事が有ったり、また悲しい話を聞いた時は、すぐにその感情が顔に表れる様な、気がします。
それから篠塚さんの顔は、ネコガオですね。猫に似ていると思いました。人にはそれぞれタイプがあるようで、私はさしずめ、猿ですかね?
もしも篠塚さんが、もう10歳若かったら、私のお婿さんにしてもいいなと、思いました。
それでは今後とも宜しくお願いいたします。
かしこ。
友美」
PSわたしの描いた、
「笑顔」どうでしたか。