そして自分の携帯を取り出し、ボタンを操作して大友に電話を掛けた。
「おい。何している。今日来る約束だろ」
「ああっ。確かに行く約束をしたが、何時行くとは言ってないぞ」
「そういうけどおれはな、開けたくも無かった店を開いて待っているんだぞ」
「ああっ。それで何が言いたいのかな」
「つまり早く来てくれといいたい訳だ」
「解った。そういうことなら今すぐにヘリコプターで行く。携帯をきるぞ」
「ああっ。頼むからな」
と私が言うよりも早くドアが開き、大友が立っていた。
「何だ、そこまで来ていたのか」
「何だ、とは何だ。と冗談を言っている時では無いな。彼が例の青年だ」
大友の後ろには青年が立っていた。右手は小さなボストンバックを持ち、左手は何かの資料らしきものを抱えている。彼の服装はジーパンに赤色のセーター、黒のジャケットを着込み、少し垢抜けた感じがする最近の若者らしかった。大友よりは背が低いので175ぐらいか、私よりは少し背が高いように感じた。ただ黒ぶちの眼鏡をしていて、それが時代にマッチしていないからだろう、少し似合わないと思う。
「彼が例の青年って、何の事。俺は何にも聞いていないぞ」
と私は大友に言った。
「あれっ、何にも言って無かったかな。加計の事だよ」
「ああ、加計ね。確かに加計の事は聞いているが、人物の事は聞いていない」
「それじゃ紹介しておくわ。今日東京からつれてきた、反岡一樹君です」
大友はそこまで、店の入り口で話しをしていたが、その青年に声を掛け店内に入ってきた。その青年は特に挨拶をする訳でもなく、大友に進められるまま、椅子に腰を掛けた。その恐縮したような顔つきから、多分知らない人に会うのは苦手なタイプなんだろうと判断できた。それを証明するかのようにきょろきょろ店内を見回している。
私から見たら、カウンター越しに、3人居る事になった。目の前に水沢あきが座り、椅子3個分開けて、通りに近い方に大友が座り、その直ぐ左側に、今言った青年、反岡一樹が座っている。という事は爺さんがそろそろ現れるはずで有る。あの爺さんはなぜか人が集まっていると顔を出してくる。顔を出す前に話しをしないと、また話が見えなくなる。と思っていたら、やはり顔を出した。
「メリークリスマス。皆の衆、集まっているな」
一番喜んだのは水沢あきで、
「立川さん、もうクリスマスは終わりました」
と火に油を注いでしまった。
「そうか。それならこれだな。もういくつ寝るとお正月…」